2022.03.02

不動産投資が保険の代わりになると言われる理由は?

よく聞く不動産投資のメリットのひとつとして、「保険の代わりになる」と言われることがあります。
特にお子さんがいらっしゃる方や、独身だけど将来的に結婚をお考えの方にとっては万が一の時の安心材料となり、興味深いメリットかと思います。
一見全く別物のようですが、なぜ不動産投資が保険の代わりといわれるのでしょうか。
それは、不動産投資ローンを組むときに同時に団体信用生命保険に加入することになるからです。
不動産投資における団体信用生命保険と保険とを徹底比較して、どのような特徴があるのか、本当に保険の代わりとして有用なのかを解説していきます。

 

 


団体信用生命保険とは

団体信用生命保険は不動産投資ローンを始め、住宅ローンにも付随してくる保険です。

ローン債権者が亡くなったり、高度障害となった時にローン残債を保険会社が全額返済してくれます。保証期間は基本的にはローン返済期間中となります。

保険と言っても、毎月の保険料はローンの返済代金の中に含まれており、住宅ローンであればご自身で返済をしていきますが、不動産投資ローンは入居者からの家賃収入でローン返済を行うので、月々の負担はほとんどありません。

万が一の際は遺されたご家族にはローンのない状態の不動産を引き継ぐことができます。

不動産を引き継いだご家族は売却をして売却益を受け取っても良し、家賃収入を継続して受け取っても良し、となります。

簡単に言えば掛け金のかからない生命保険に加入し、ご家族に資産を遺してあげられる、というイメージです。

保険とは

保険にはいくつかの種類がありますが、ここでは大きく3種類をご紹介します。

①死亡に備える保険

これはシンプルに亡くなってしまった時のための保険です。

死亡保険もさらに定期保険、終身保険などに分けられます。

定期保険は掛け捨て型ともいわれ、保険料は比較的安く、10年等の一定期間保証が続きますが、何事もなければ掛け金は返金されません。また、年齢が上がれば保険料も高くなっていきます。

終身保険はその名の通り一生涯保証が続きます。保険料は定期保険よりは高額になりますが貯蓄性があり、途中解約の場合は解約返戻金を受け取ることができます。

②病気やケガに備える保険

病気やケガに備える保険として医療保険やがん保険などがあります。

医療保険は病気になり入院したり、ケガをして治療を受けるなどで医療費がかかった際に受け取れるものです。

がん保険はがんになった際の入院費や治療費が受け取れます。

③貯蓄のための保険

貯蓄を目的にした保険もあります。

例えば個人年金保険は老後の生活費をまかなうための保険で、保険料払込み満了後、一定の年齢に達すると年金が支払われる仕組みです。

その他お子さんの進学などに備えるための学資保険や、死亡保険金と満期保険金が同額の養老保険も貯蓄性があります。

団体信用生命保険と保険との比較

ここからは不動産投資における団体信用生命保険と、生命保険各種との比較をしていきます。

①団体信用生命保険と死亡保険

団体信用生命保険と死亡保険を比較するとどうなるでしょうか。

(1)払込み保険料、(2)死亡時の保険金、(3)無事存命の時、の3点で比較します。

 

【前提条件】

団体信用生命保険:3000万円の不動産を35年の不動産投資ローンを組んで購入した。家賃10万円、管理費等2万円。

 

終身保険:30歳から月2万円を35年間払込み、1200万円の保証を受けられる。死亡せず解約した場合の解約返戻金は900万円。

(1) 払込み保険料

団体信用生命保険の場合、保険料は毎月のローン返済に含まれており、家賃収入から返済していくため実質ゼロ円。

 

終身保険の場合、月2万円を35年間なので、2万円×12か月×35年で840万円の払込み。

(2) 死亡時の保険金

団体信用生命保険の場合、無借金の不動産が残るので、不動産を売却して現金を得られます。3000万円で購入したので値下がりを考慮しても1000~2000万円前後となります。

売却しなければ、(家賃収入10万円-管理費等2万円)×12か月で年間96万円の手取り家賃収入。10年所有で960万円、20年所有で1920万円。仮に20年後に1000万円で売却をすれば手取り家賃収入1920万円+売却益1000万円で2920万円です。

 

終身保険の場合、契約通り1200万円の保険金が受け取れます。

 

不動産は長く所有を続ければそれだけ利益が増えます。しかし絶対にいくらという金額は決まっておらず、不確定要素があります。保険は契約時に保険金額が決まっていますので、確定的に1200万円の保険金を家族に残すことができます。

(3) 無事存命の時

団体信用生命保険の場合、存命であればローンが終了し年間96万円の家賃収入が手に入ります。売却をすれば売れた金額(1000~2000万円前後)が利益です。

 

終身保険の場合、存命であれば解約し解約返戻金を受け取ります。解約返戻金は900万円です。

 

不動産は死亡時に遺族が受け取る金額をそのまま受け取れるということです。ただしその時の売却金額など不確定要素もあります。

保険の場合はおおよそ確定的に900万円の返戻金がありますが、そこまでに840万円の払込みをしているので実質の利益でいうと60万円程になります。

団体信用生命保険死亡保険
払込み保険料実質ゼロ円 840万
死亡時保険金 1000~2920万円1200万円
存命の時1000万円~900万円

②団体信用生命保険と医療保険

次に団体信用生命保険と医療保険を比較していきます。

比較のポイントは、(1)払込み保険料、(2)病気やケガをした時の保証、(3)病気やケガをしなかった時、の3つです。

 

【前提条件】

団体信用生命保険:3000万円の不動産を35年の不動産投資ローンを組んで購入。家賃10万円、管理費等2万円。

 

医療保険:掛け捨て型で月3000円の払込み、入院日額5000円、手術給付金10万円、通院給付金日額3000円。

(1) 払込み保険料

団体信用生命保険の場合、保険料は毎月のローン返済に含まれており、家賃収入から返済していくため実質ゼロ円

 

医療保険の場合、月3000円×12か月で年間3万6000円。契約中は継続するので、10年で36万円、20年で72万円

(2) 病気やケガをした時の保証

団体信用生命保険の場合、高度障害の診断でなければ原則として保険金の支払いはありません

高度障害とは、わかりやすく言えば両目が見えなくなったり、話せなくなったり、両手両足が使えなくなったりと、重い障害を負った状態です。

ただし銀行によっては2週間の入院でその月のローン返済が免除になったり、0.1%前後金利は上がりますががん特約を付けると、がんと診断されたら残債はなくなります。

医療保険の場合、入院が必要になれば1日当たり5000円を受け取れます。手術や通院でも給付金が入ります。

不動産の場合ちょっとした入院や治療では保険は下りないのに比べ、医療保険の場合はその点安心できそうです。

 

(3) 病気やケガをしなかった時

団体信用生命保険の場合、健康に生活できればそのままローンが終了し、年間96万円の家賃収入もしくは売却益が得られます。

 

医療保険の場合、健康に生活してしまうとこれまでかけたお金は戻ってこないことになります。

団体信用生命保険医療保険
払込み保険料実質ゼロ円年36000円~
病気やケガの保証基本なし(高度障害やがんの場合は保険適用 )入院日額5000円/手術給付金10万円/通院給付金日額3000円
病気やケガをしなかった時1000万円~ゼロ(保険料分戻らず)

③団体信用生命保険と貯蓄型保険

最後に団体信用生命保険と、貯蓄型保険、その中でも個人年金保険を比べていきます。

比較ポイントは、(1)払込み保険料、(2)受け取れる年金額、(3)受け取れる期間、の3点です。

 

【前提条件】

団体信用生命保険:3000万円の不動産を35年の不動産投資ローンを組んで購入。家賃10万円、管理費等2万円。

 

個人年金保険:30歳から月2万円を35年間払込み、65歳から年間88万円を10年間受け取る。

(1) 払込み保険料

団体信用生命保険の場合、保険料は毎月のローン返済に含まれており、家賃収入から返済していくため実質ゼロ円

 

個人年金保険の場合、月2万円×12か月×35年で840万円

(2) 受け取れる年金額

団体信用生命保険の場合、ローン完済後は(家賃収入10万円-管理費等2万円)×12か月で年間96万円の手取り家賃収入が入ります。

 

個人年金保険の場合、払込み終了後から年間88万円の年金が受け取れます。

(3) 受け取る期間

団体信用生命保険の場合、ローン完済後は売却して不動産を手放すまで、もしくは亡くなる時まで家賃収入を受け取り続けることができます。

 

個人年金保険の場合、払込み終了後から10年間、65歳から75歳まで年金が受け取れ、その後の保証はなくなります。

団体信用生命保険個人年金保険
払込み保険料実質ゼロ円840万円
受取年金額年間96万円年間88万円
受取期間売却、死亡するまで10年間

まとめ 団体信用生命保険は保険の代わりなのか?

団体信用生命保険と様々な種類の保険を比較してみましたがいかがでしょうか。

不動産投資における団体信用生命保険は確かに保険としての役割を担っている部分が多く、なかには保険よりもパフォーマンスが大きい部分もあり、保険の代わりになると言えるでしょう。

 

しかし不動産投資=保険ではありません。団体信用生命保険だけでは補えない部分や、性質が異なる部分ももちろんあります。

不動産投資と保険をそれぞれ過不足なく組み合わせることで、より良い保証を準備ができますので、ぜひ参考にしてください。

 

保険と不動産の組み合わせ方が分からない、どんな保険・不動産を購入すればよいのかわからないという方は、お気軽に弊社の相談会をご利用ください。

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