2022.04.06
不動産投資における悪質な不正融資の実態と知っておくべき注意点
不動産投資は中長期的に収益を出すことができる有効な投資手段のひとつですが、不動産という素人には細部が見えにくい性質をいいことに、不動産会社や金融機関による不正融資が行われることがあります。
投資をするつもりが犯罪や詐欺に巻き込まれてしまう可能性がありますので、そうならないために知っておくべき実態と回避方法をお伝えします。
不動産会社や金融機関による不正融資の手口
①年収資料や自己資金エビデンスの改ざん・水増し
融資を組む金額には人それぞれ上限があり、その上限はその人の年収や資産背景などによって変わってきます。
一般的には年収が高ければ高いほど高額のローンを組むことができますし、持っている資産や預貯金が多いほど優遇されます。
そのため、源泉徴収票や課税証明書などの収入証明資料の数字の改ざんや、自己資金の金額の改ざんを行い、より高額のローンを通そうとする業者や金融機関が存在します。
自分は正しい資料を提出していても、知らないところで勝手に数字を変えられている可能性もあるため、最終的に金融機関が持っている資料の数字は確認しておいた方が良いでしょう。
2018年の「かぼちゃの馬車・スルガ銀行」問題の発覚により、以前と比較するとかなり審査は厳しく行われるようになったようですが、それでも不正を行う業者が潜んでいる可能性はありますので十分注意が必要です。
②フラット35を投資用不動産へ利用
フラット35は自己の居住用、もしくは親族の居住用の物件などを購入する時に利用できる長期固定金利型の住宅ローンです。
このフラット35は投資用不動産の購入には利用できません。
しかし、投資用の住宅ローンよりも融資条件が緩く、なおかつ金利も安いので、なんとか契約が欲しい業者や投資用ローンの提携がない業者は、本来ならば投資用不動産が買えないような人に対してもフラット35を使って契約をしようとしてきます。
何も知らず業者の指示通りに契約をしてしまっただけだったとしても、銀行は購入者が虚偽申請をしたとみなします。
居住用の物件を購入すると嘘をついてフラット35を投資用不動産の購入に利用した場合、契約違反となり、借入の一括返済を求められることになります。
一括返済を求められてもあっせんした不動産会社は責任を負ってくれず、購入者に自己資金がなければ物件を売却してローンを返済するしかなく、最悪の場合、売却金額だけでローン金額に足りず負債が残ってしまうという非常に苦しい状況に陥ります。
近年は居住用の住宅ローンの投資利用については以前に増して厳しくチェックをされるようになってきています。
最悪の状況に陥らないためにも、気軽な気持ちでフラット35やその他居住用の住宅ローンを使って投資用物件を購入することは避けて下さい。
投資物件を購入する際は必ずローンが投資用のローンなのかをしっかりと確認するようにし、フラット35の利用を勧めてくる業者とは付き合わないことをお勧めします。
その他不正な販売手法
不正融資に付随して詐欺的な販売手法が取られることがあります。
例えば販売価格を水増しした物件を購入させる、空室で入居者が付きづらい物件でも相場より高い賃料でサブリース契約をして購入させ、数年後にサブリース賃料を減額するというような手法です。
本来の価値よりも大幅に水増しされた価格の物件を購入すれば運用効率が落ちてしまいます。サブリースは当初のサブリース賃料での保証中は問題ないかもしれませんが減額されれば収益が少なくなり、最悪の場合は赤字です。
不正融資と合わせて、このような購入者を騙すような販売手法をいまだに取っている不動産会社も残念ながら存在します。
不動産を購入する時は信頼できる不動産会社なのか、担当営業マンは誠実なのか、十分に確認しましょう。
悪質な不正融資や不正販売に巻き込まれる具体例
≪具体例1≫Aさん、30歳、年収420万の場合
SNSで知り合った知人から、老後の年金問題や収入減のリスクの話を受けて不安になり、ファイナンシャルプランナーを自称する不動産ブローカーを紹介された。
Aさんには余剰資金はほとんどなく投資は難しいだろうと思ったが、話だけでもと言われ聞いてみたところ、今の自分でも始められると言われ興味を持ち申し込みをした。
ローンの申し込みの際、投資用ではなく自分で住む家と言うと金利が安くなるとブローカーに言われ、疑問に思いつつもその通り申し込みをし、一時的に住民票をその物件に移すように言われその指示にも従った。
物件引き渡し後、住民票を元に戻したところ、金融機関のチェックが入り住宅用金利を投資用に利用していることが判明し、一括返済の対象となってしまった。
両親に事情を話し、足りない部分のお金を工面できたが、Aさんはローンのことをよく調べず、知らないまま契約違反をしてしまったことを後悔している。
≪Aさんが取るべきだった行動≫
不動産ブローカーを紹介されたところまでは仕方ないとしても、そこですぐに申し込んではいけません。
年収や自己資金の額から、自分は本当に投資不動産を所有できるのか、他の不動産会社やファイナンシャルプランナーにセカンドオピニオンを求めるべきでした。
また、金融機関に嘘をつく事や住民票の移転に疑問を持った時に手続きをストップしていれば契約違反になってしまうこともなかったでしょう。
信頼できるのかどうか判断できない人からの提案は簡単に申し込まない、疑問に思ったら立ち止まるなど、基本的なことですが今一度頭に留めておきましょう。
≪具体例2≫Bさん、45歳、年収1100万円の場合
Bさんは大手企業に20年勤務しており、預貯金が2000万円程できたため、良い資産運用がないか探していたところ不動産投資に興味を持った。
インターネットで物件を探し、良さそうな物件に問い合わせをしたがその物件は早々に売れてしまったようで別の物件を紹介された。
駅から15分と少し離れているのが気になったが、サブリース保証をするとの事で購入を決めた。3000万円の物件だったので、2000万のローンを組み、残りの1000万を自己資金か捻出した。
物件購入の数年後、サブリース賃料が1万円、またすぐに5000円減額されることになり、当初予定していた利回りは得られなくなったうえ、サブリースの解除もできなかった。
煩わしくなったBさんは物件を売却しようとしたが、査定したところ1900万円でしか売却できなかった。そもそもこの物件の周辺相場は2000万円であり、2000万の銀行評価しかつかなかったが、Bさんの自己資金が豊富なことに目を付けた不動産会社が、2000万の価値の物件を3000万として販売し、銀行評価から溢れた部分を自己資金から捻出させたのだった。
Bさんはさすがに1900万では売却する決断はできず、所有継続を余儀なくされた。
≪Bさんが取るべきだった行動≫
入居者がすぐに入る物件であれば本来サブリースは必要ありません。今回の物件は最寄り駅からの距離が離れておりアクセスに問題があり、入居者が付きにくいことはわかっていたはずですが、“保証”という言葉に惑わされてしまったことが最初の間違いです。
入居者がおらず家賃が入らないものを業者はいつまでも保証ができませんから、徐々に家賃は下がっていきました。
さらに物件の周辺の売買相場を見ていれば、高く買わされることもなかったかもしれません。ローンのみであれば銀行の評価額で購入できるので、心配する必要はありませんが、
自己資金を使う場合はこの点注意をしてください。
まとめ
不動産投資に銀行のローンはつきものであり、正しく使えば資産運用の幅を広げてくれる良いツールになります。
しかし一歩間違えると不正融資の被害者、もしくは加担者とみなされることもあります。
書類改ざんやフラット35の不正利用など、知っていれば回避できる内容ですので、今回の内容は物件購入の際にお役立てください。
不正融資の一番の回避方法は信頼できる不動産会社から物件を購入することです。
USTRUSTでは不動産会社の目利き方法やセカンドオピニオンなども承っています。
不動産購入に関してのお困りごと、ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。
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