2022.03.12
国家資格!宅地建物取引士試験を現役不動産会社勤務の宅建士が解説!④
国家資格である宅地建物取引士試験の解説コラムです!
ここでは実際に宅建試験で出題された問題を、現役不動産会社勤務の宅建士が解説し、不動産購入・賃借時にちょっと役立ちそうな情報をお伝えしていきます。
今回の例題はこちら↓
令和3年10月試験出題
問4 被相続人Aの配偶者Bが、A所有の建物に相続開始の時に居住していたため、遺産分割協議によって配偶者居住権を取得した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。
2.Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。
3.配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。
4.Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。
配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、夫婦どちらかが亡くなって残された配偶者が、相続開始時に亡くなった人の所有する建物、もしくは配偶者と共有の建物に居住していた場合、一定の要件を満たせば、終身もしくは一定期間その建物に無償で住み続けることができる権利のことです。
民法の大改正により、令和2年4月に施行されました。
解答・解説
1.〇正しい
配偶者居住権の存続期間は原則として配偶者が亡くなるまでです。しかし、遺産分割協議や遺言に別段の定めがあるときなどは、配偶者居住権の存続期間を一定期間に制限することができます。記述の通り、存続期間が満了すると配偶者居住権は消滅し、延長や更新はできません。
2.×誤り
配偶者は当該建物を第三者に賃貸する場合、所有者の承諾を得なければならないと定められています。
3.×誤り
配偶者居住権は相続できません。配偶者が死亡すると、配偶者居住権は終了するからです。
4.×誤り
配偶者居住権は登記がなければ第三者に対抗できません。対抗というのは、どちらの権利が強いのかということで、この場合第三者の権利の方が強くなります。よって当該建物を購入したDが出ていけと言えば、配偶者Bは出ていかなければならないのです。
このようなことを防ぐため、建物の所有者は配偶者に対して配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負っています。
したがって、この問題の正解は1です。
いかがでしょうか。
配偶者居住権は令和2年に新設されたものですが、覚えやすい制度ですので、得点はしておきたい問題でした。
このような試験をクリアしている宅地建物取引士は、不動産取引のプロです。
不動産についてわからないことがあれば、当社専任の宅地建物取引士までぜひお気軽にお問い合わせください!
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