2023.02.15
2024年制度改正!新NISAについて解説
皆様こんにちは、コラム担当です!前々回、前回と年金や年金対策、iDeCoについてご説明させて頂きました。ここまで読んでくださっている方がいましたらありがとうございます。コラムは毎週更新しておりますが、興味のあるコラムを読んで頂ければと思います!どんどんつまみ食いならぬつまみ読みをして頂けましたら筆者が泣いて喜びます。
さて今回は前回予告しましたNISAについてご説明させて頂きます。最近は2024年の制度改正が話題にもなっていますよね。実は先日2月13日はNISAの日でした。2(に)1(い)3(さ)でNISAですね。ということで改めてどんな制度なのか、2024年の制度改正も踏まえて解説した後、前回ご説明したiDeCoとの比較もしていきたいと思います。
今週もどうぞお付き合いください!宜しくお願い致します。
NISAとは?
まずNISAとは、「NISA口座(非課税口座)」内で毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に税金がかからないという制度です。
そもそもNISAはイギリスのISAを基にして導入された制度で、ISAはIndividual Saving Accountの略で個人貯蓄口座という意味になります。イギリスで1999年に個人の貯蓄や投資を促進する目的で導入され、イギリス居住者対象の税制優遇措置のついた個人貯蓄口座、又はその制度のことを指します。日本のNISAはISAを見本として導入された制度である為、Nippon Individual Saving Accountの頭文字を取ってNISAとされています。
NISAは一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類がありそれぞれの特徴は以下となります。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA※ | |
---|---|---|---|
利用できる方 | 18歳以上の方 | 18歳以上の方 | 17歳以下の方 |
非課税枠 | 120万 | 40万 | 80万 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
投資対象商品 | 上場株式・ETF・REIT等 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 一般NISAと同様 |
払出し制限 | なし | なし | 18歳まで不可 |
※成人年齢の引き下げに伴い、2023年1月1日以降ジュニアNISAの対象年齢が17歳以下の方、一般NISAとつみたてNISAは18歳以上の方となっております。
前々回からお話しております老後資金という観点で言えばつみたてNISAがお勧めです。つみたてNISAは2018年に始まった少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。少額から毎月継続して長期の資産形成を目指す方に適しています。
つみたてNISAの対象商品は手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっていることが特徴です。先程の表に更につみたてNISAの特徴を加えて分かりやすくしたものが以下です。
つみたてNISA | |
---|---|
利用できる方 | 開設しようとする年の1月1日現在、日本国内に居住する満20歳以上 |
非課税枠 | 年間40万円まで(20年間で最大800万円) |
非課税期間 | 最長20年間 |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託、ETFに限定されている |
口座開設可能数 | 1人1口座 |
投資可能期間 | 2018年から2042年 |
2024年の制度改正
2022年12月16日に自由民主党・公明党が公表した報告書「令和5年度税制改正大網」において、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増に繋げる為にNISAの抜本的拡充・恒久化を行うという方針が発表されました。
若年期から高齢期に至るまで、長期・積立・分散投資による継続的な資産形成を行えるよう、非課税保有期間を無期限化すると共に、口座開設可能期間については期限を設けず、NISA制度を恒久的な措置と、個人のライフステージに応じて資金に余裕がある時に短期間で集中的な投資を行うニーズにも対応できるよう、年間投資受減額を拡充する方針です。
制度が変わるとどうなるのかと言いますと、2023年までの現行NISA制度(一般NISA・つみたてNISA)については2023年末で買付は終了となりますが、新しいNISA制度とは別にそのまま保有することが可能です。新しいNISAは上記の通り抜本的拡充・恒久化の方針が示されています。
新しいNISA制度のポイントを詳しく解説していきます。
①仕組み
現行のNISA制度では「一般NISA」と「つみたてNISA」と分かれており、どちらかを選択する必要がありましたが、新しいNISA制度では「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が設けられており、またこの2つが併用可能となりました。
つみたて投資枠では一定の投資信託を対象とした長期・積立・分散投資を主な目的とし、成長投資枠では上場株式・投資信託への投資が可能となります。
よって、成長投資枠とつみたて投資枠はそれぞれ一般NISAとつみたてNISAの役割を引き継ぐ形になります。
②年間投資可能額
個人のライフステージに合わせた投資や、資金に余裕がある時に集中的に投資が行えるよう、年間投資上限額が拡充されました。
現行のつみたてNISAの年間投資可能額は年間40万円ですが、新しいNISA制度ではつみたて投資枠として3倍となる「120万円」まで拡充されます。
また、一般NISAでは年間120万円から成長投資枠として「240万円」と倍増されます。
併用が可能であることから、併せて最大360万円に拡大されたと考えるととても大きな金額ですよね。
③生涯投資上限額
新しいNISA制度では年間投資上限額とは別に、一生涯にわたる非課税限度額が設定されました。買い付け金額ベースで1800万円(成長投資枠は1200万円)となり、売却した場合には買い付け金額分の枠が復活します。
④非課税保有期間
現行のNISA制度ではロールオーバーによる延長も可能ではありますが、一般NISAで5年、つみたてNISAで20年と非課税保有期間が限られていました。非課税保有期間が無期限化されたことで、現行制度よりもさらに継続的な資産形成を行えるようになりました。
⑤投資可能期間
現行NISA制度では一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと、投資可能期間(口座開設期間)が設定されていました。今回恒久化されることにより、長期的に投資をすることが可能になります。
NISAとiDeCoってどっちがいいの?
制度の改正によりNISAがより投資のしやすい制度となることはお分かりいただけたかと思います。しかしそうすると、余計にiDeCoとNISA、どちらが自分に向いているのか?と悩んでしまいますよね。個人個人のライフプランによっても変わるとおもいますが、目的別に分けるのは重要だと考えられます。
例えば老後資金の為→iDeCo、つみたてNISA
iDeCoの強みは「老後資金作り」と「節税効果」
将来の為に老後資金をしっかり作っていきたいという方にはiDeCoがお勧めです。iDeCoのデメリットは60歳まで運用資産が引き出せないことですが、引き出せないことで複利効果を活かした運用が可能になります。
そもそも確定拠出「年金」と年金の名がつく制度である為、老後の備えに特化した制度と言えるでしょう。
老後の為にしっかりお金をつみたてたい人、収入が安定している人、退職金制度がない人などにはiDeCoがお勧めです。
またつみたてNISAは非課税期間が20年間である為、NISAを活用するのであれば将来に向けてコツコツと資産形成のできるつみたてNISAが向いています。
例えば出費の為→NISA
趣味や旅行費用、その他短期的な目標の為にはNISA制度を活用するのがお勧めです。いつでも運用資金を引き出すことができる為、ある程度自由に運用ができます。また幅広く投資ができ、利用できる商品が多岐にわたっていることもNISAのメリットになります。
積み立てをする自信がない人、柔軟に運用したい人、沢山の商品から選びたい人などにはNISAが適しています。
NISAとiDeCoの併用
老後の資金も作りつつ、短期的にお金を貯めたいという方にはNISAとiDeCoの併用がお勧めです。老後資金のようにある程度まとまったお金を作る中で、突発的な出費やライフイベントも発生するでしょう。であればNISAだけ、iDeCoだけではなく、それぞれの特徴やメリットデメリットを踏まえ、NISAとiDeCoを併用していくことも選択肢に入れてみて下さい。
NISAとiDeCo、比べられることが多いのですが実はその本質は大きく違います。またどちらが得という話でもありません。自分の資産と相談しつつ、ライフプランを考えて自分に合った資産運用方法を見極めましょう。
まとめ
ここまでお読み頂きましてありがとうございます。
NISAについてご理解頂けましたでしょうか?一度で理解しようとするのは難しいと思いますので、是非金融庁のサイトや資料もご覧になって理解を深めて頂くのが良いかと思います。
また、皆様が疑問に思われることの多いiDeCoとの違いもお分かりいただけたのではないでしょうか。iDeCoもNISAも使わない手はありません。貯蓄から投資へと変化する時代、自分にとってより良い選択をし、将来の不安を取り除いていきましょう。
前回のコラムはこちら
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