2023.02.08
確定拠出年金とは?年金対策について考える
皆様こんにちは。先週のコラムはお読み頂けましたでしょうか?先週は年金についてお話させて頂きました。ねんきんネット等の年金記録はチェックされましたでしょうか?年金の受給額予測が多いならまだしも、少ないと感じる場合、この金額で生活できるのかと不安になってしまいますよね。前回の最後にもお伝えさせて頂きましたが、今回は具体的に年金を増やす為にできる事、年金対策について考えていきたいと思います。どうぞ今回もお付き合いください。
年金を増やす方法
年金を増やす為にできることはいくつかあります。以下をご覧ください。
- 国民年金の任意加入
- 付加年金への加入
- 60歳以降も厚生年金を払い続ける(働く)
- 繰り下げ受給をする
- iDeCoに加入する
- NISAを利用する
- 国民年金基金に加入
60歳以降の国民年金の任意加入(複数条件有り)や、第1号被保険者・任意加入被保険者が付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると付加年金として上乗せされたり、繰り下げ受給をしたりすることで年金を増やすことも可能です。それぞれ条件がある為、ご自身ができる対策なのかできない対策なのか照らし合わせ、利用できるようであれば是非対策して頂くことをお勧めいたします。
またiDeCoやNISAといった資産運用で老後の資金を作るということも可能です。今回は2022年に制度が改正されたiDeCo、個人型確定拠出年金について考えていきましょう。
個人型確定拠出年金の仕組み
皆さんがよく耳にするiDeCoは正式には個人型確定拠出年金と言われています。
では確定拠出年金ってそもそも何なのかと疑問に思われませんか?
確定拠出年金とは拠出された掛金とその運用益との合計額を基に、将来の給付額が決定する年金制度です。掛け金を事業主が拠出する企業型DC(企業型確定拠出年金)と、加入者自身が拠出するiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。
企業型DCとiDeCoの違い
企業型DC | iDeCo | |
---|---|---|
加入対象者 | 原則70歳未満の会社員 | 国民年金被保険者 |
掛金 | 会社負担 | 自己負担 |
運用商品 | 会社が選択 | 自分で選択 |
納付方法 | 会社から納付 | 自分の口座又は給料天引き |
受取方法 | 年金又は一時金 | 年金又は一時金 |
加入手続き | 会社を通じて行う | 個人で行う |
企業型DCは企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。企業型DCは従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入できるかどうかを選択できる場合(選択型企業DC)があります。
iDeCoの加入は任意で、加入の申し込み、掛金の拠出、掛金の運用の全てを自分で行い、掛金とその運用益との合計額を基に給付を受け取ることができます。公的年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送る為の一助となります。
iDeCoのメリット
iDeCoの運用には大きなメリットがあります。それは掛金が全額取得控除されること、確定拠出年金制度内での運用益が非課税であること、受給時の税制優遇です。
それぞれのメリットを解説します。
掛金が全額所得控除される
iDeCoは掛金が全額所得控除される為、課税所得が減ります。これにより当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減されます。ただし、掛金をご自身の口座から引き落としている方は年末調整か確定申告が必要です。こちらは必ず行いましょう。
運用益が非課税
通常、利息や運用益が出た場合税金が差し引かれますが、iDeCoを運用した場合は利息・運用益が出ても税金はかかりません。
受給時の税制優遇
受給する際も一定額までは控除の対象となります。iDeCoは原則60歳から「老齢給付金」として受給を開始できます。その際に受取方法も自分で選択します。一時金(一括受け取り)か年金(分割受け取り)、もしくは一時金と年金の併用から選択します。いずれの方法を選んでも各種控除の対象となりますので一定額まで税金がかかりません。
制度改正
実はiDeCo、2022年に制度が改正されたのですが皆様はご存じでしょうか?現代はより多くの人が長く働く多様な時代となり、また医療等の発達により高齢を迎えてから過ごす時間も昔よりも長くなっている為、その経済基盤を支える為に2020年6月に国民年金法の一部が改正され年金制度が強化されました。そして2024年にも改正が予定されています。
昨年の制度改正時のポイントをおさらいしましょう。
受給開始時期の上限が70歳から75歳に延長
これまで70歳だった上限が75歳になった事で、iDeCoの老齢給付金の受給開始時期を60歳(加入者資格喪失後)から75歳までの間で選択できるようになりました。
iDeCoに加入できる年齢要件の緩和
年齢要件が緩和され、新たに下記の方がiDeCoに加入できるようになりました。
- 会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の方
- 国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の方
- 国民年金に任意加入している海外居住の方
加入区分 | 加入対象となる方 |
---|---|
国民年金の第1号被保険者 | 20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など |
国民年金の第2号被保険者 | 厚生年金の被保険者(会社員、公務員) |
国民年金の第3号被保険者 | 厚生年金の被保険者に付与されている20歳以上60歳未満の配偶者 |
国民年金の任意加入被保険者 | 国民年金に任意で加入した方 ①60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の納付済み期間が480月に達していない方 ②20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付済み期間が480月に達していない方 |
企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入要件の緩和
これまでiDeCoに加入できなかった企業型DC加入者の方も加入できるようになりました
ただしiDeCoの掛金と企業型の事業主掛金を合算して月額5.5万円を超えることはできません。また掛け金(企業型の事業主掛金・iDeCo)が各月拠出であること、企業型DCのマッチング拠出を利用していないことが条件となります。
今後の改正
2024年12月1日からiDeCoの拠出限度額が変更となります。
確定給付型の他制度を利用する場合(公務員の方を含む)のiDeCoの拠出限度額が1.2万円から2万円に引き上げられることとなりました。
ただし、企業型DCの事業主掛金額と確定給付型ごとの他制度掛金相当額を合算して月額5.5万円を超えることはできません。これによりiDeCoの掛金の上限が小さくなったり、iDeCoの掛金の最低である5千円を下回り、掛け金を拠出できなくなったりする可能性もありますのでご注意ください。
まとめーiDeCo加入のすすめー
今回はiDeCoについて詳しくお話して参りましたが如何でしたでしょうか。筆者もまだまだ勉強中ですが、iDeCoについて少しでも知識を深めて頂ければ幸いでございます。もしiDeCoに興味がございましたら、まずはシミュレーターで加入した場合どうなるのか?というところから確認してみましょう。そこで加入される場合は掛金や運用商品、金融機関を選んでいきます。しかしiDeCoは個人での加入となる為、不明点や不安を無くしてご自身が安心して始められる状態を整えることが重要です。とはいえ早く始めた方が長く積み立てできるということも頭の片隅に置いておいていただけますと幸いでございます。
さて、次回はiDeCoと共に上げられることの多いNISAについてご説明させて頂きます。実際iDeCoとNISAどっちが良いの?という方もいらっしゃいますよね。比較もして参りますので次回も必見です!どうぞ来週もお付き合いください。
前回のコラムはこちら
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